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五月下旬。 春が終わりを告げ、梅雨を迎える時期。 衣替えの日が近付き、寒さとは無縁の季節が迫る。 だが、松実館のある一室では―― 「うぁっつう……」 エアコンの暖房設定。 十重二十重に重ねられた毛布やタオルケット。 曇る窓ガラス。 そして、自分の上に覆い被さるように眠っている姉。 「あったか~い……」 こんな環境でありながら健やかな寝顔を晒せるのは、日本広しと言えども自分の姉くらいのものだろう。 勿論、自分は違う。このままでは暑さでやられる。 姉の安眠を妨げるのは心苦しいが、起こさなければ。 「ほら、姉さん。起きろよ」 「んぁ、むぅ……」 宥姉判定直下 1~40 おはようの、ちゅー…… 41~60 やだぁ…… 61~98 もっと…… ゾロ目 ??? おはようの、ちゅー…… モゾモゾと身じろぎする姉。 目を擦っているが未だ寝惚け眼であり、覚醒しきっていないようだ。 「ちゅー……」 「ハァ?」 「おはようの、ちゅー……」 「……」 宥が瞳を閉じる。 そっと唇を付き出し、言葉の通りのものを求めている。 「……姉、さん」 それに対して、京太郎は。 そっと、姉の肩に手をかけて。 「アホかーっ!!」 「ひゃぁっ!?」 思いっ切り、押し飛ばした。 汗を流すためにシャワーを浴びて、朝食をとり、身支度をすればあっという間に登校時刻。 憂鬱な休み明けの通学路を、欠伸を噛み殺しながら歩く。 そんな京太郎の様子を見て、幼馴染の新子憧は苦笑した。 「ちゃんと寝たのー? 今日、テストだけど」 「いや、宥姉さんがさ……」 「……あぁ」 松実姉妹の弟への溺愛っぷりは。 阿知賀に通う生徒なら、誰でも知っている。 あこちゃー判定直下 1~30 お願いだから法に触れるのは止めてよね 31~60 ……相変わらず、ねぇ 61~98 私だって……京太郎と…… 姉と弟。 近親相姦。 常識として、倫理として普通ならば考えられない。 法律で禁じられていることだ。 だけど、あの姉妹は、実の弟に、異性としての感情を向けている。 「寝苦しいけど……姉さんほっとけないしなぁ……」 そして、この隣を歩く幼馴染も。 気持ちが傾きつつあるのを、憧は知っている。 「……ズルい……」 神様。 お母さん、お父さん。 どうして私を。 京太郎の姉として、産んでくれなかったの。 髪を伸ばした。京太郎がドラマの髪が長い女優に見惚れていたから。 化粧を覚えた。京太郎が年上の女性に憧れていたから。 急に色気づいたと馬鹿にするヤツはいたけれど、姉に習って、雑誌を読んで、必死に勉強した。 だけど。 「いやさー、玄姉さんも玄姉さんで……」 勝てない。 京太郎と一緒にいられる時間でも、京太郎の好みの体つきでも。 あの姉妹には、勝てない。 不公平だ。 こんなにも、京太郎のことを見ているのに。 神様は、時間も、体も、幸運も。 憧にはくれなかった。 「おーい、憧……?」 「……」 「おーい! あっこちゃんやい!」 「ふきゅっ!?」 勢いよく肩を叩かれて、憧は我に帰った。 「止まれって。車来てる」 「え? あ、あぁ、うん」 京太郎に手を引かれて、道の端へ。 幼馴染の手のひらは温かくて、優しいけれど。 ほんの一瞬、鼻腔を擽ったシャンプーの匂いは。 「……京太郎」 「ん?」 「ありがと」 「ん」 憧の心に、小さくない引っ掻き傷を作った。 「んー……大丈夫かな、あいつ」 昇降口で憧と分かれ、別のクラスへ。 二人が通う教室は廊下の反対側にある。 様子のおかしかった幼馴染は心配だが、自分にも授業がある。 ずっと側にいてやることはできない。 「……む!」 教室の入り口に差し掛かった辺りで。 京太郎は、背後から近付いてくる足音に気が付いた。 朝昼晩を問わずやたらとやかましいこの音は、絶対にアイツだ―― 穏判定直下 1~30 どーん!! 31~60 おっはよー!! きょーたろー!! 61~98 どーん!! むー? あれれー? ゾロ目 ??? どーん!! 京太郎の脇を擦り抜ける、弾丸の如き小さな影。 ぎゅぎゅっと急ブレーキの音を響かせて、京太郎へと振り向く彼女。 「おっはよー!! きょーたろー!!」 黒いジャージに白い上履き。 ぱっと見で小学生にも見える彼女の名前は高鴨穏乃。 憧と同じくらい付き合いの長い、もう一人の幼馴染。 「……む? おっはよー!!」 「いや、聞こえてるから」 相変わらずの様子に、苦笑する。 全身全霊全然オッケー。 元気があれば何でも出きる。 そんな言葉を体現したような少女だ。 「んー? 憧は?」 「そりゃ別クラスだし」 「あ、そっか」 ポンと手を叩く穏乃。 小学生まではずっと同じクラスだったが、中学からはクラスが変わってしまった。 ……思えば、その時から。 憧の、今朝のような様子を見ることが増えたかもしれない。 「なあ、穏」 「んー?」 「なんか憧が元気ないみたいでさ、後で話聞いてやってくれないか? 男の俺より話しやすいだろうし」 「んー……そんなことは無いと思うけど……わかった!」 元気よく頷く穏乃。 これで、憧の曇りを晴らすことができればいいのだが。 予鈴が鳴っても、京太郎の思考は授業ではなく幼馴染の方向を向いていた。 休み時間。 「ふぅ……」 雉打ちを済ませ、晴れやかな気分で廊下を歩く。 爆弾処理を無事に済ませた後は、誰だって気分が良い。 「……む?」 目の前を歩く小柄な後姿は、見覚えのある――というか、自分の異性の知人はみんな小柄だ。 多くのファイルを抱えた姿は少し危なっかしい。 「あの、手伝いますよ」 「む……」 あらたそ判定直下 1~30 いいの……? 31~60 ありがと…… 61~98 だ、ダメだと思…… ゾロ目 ??? ありがと…… 「ありがと……」 「いいっすよ。むしろドンドンこき使って下さいよ」 鷺森灼。 小柄でおかっぱ頭の彼女を初めて見た時、『こけしみたい』だなんて感想を抱いた事は、墓場まで持っていかなければならない。 「須賀くん……」 「だからいいっすよ、これぐら――」 「ドエムさん?」 「なんで!?」 彼女のノリは、少し独特だ。 レジェンドを前にした時はかなりわかりやすいのだけれど。 灼と一緒に職員室へと授業用のファイルを送り届けた京太郎。 「じゃ、また……」 「うす、次は部活で」 灼と京太郎のクラスも反対方向にある。 振り向いて、自分の教室へ戻ろうとした京太郎は、深刻な表情を浮かべて職員室の戸をくぐる赤土晴絵に気が付いた。 すれ違いになったので灼は晴絵の様子に気付いていない。 自分の机に座り、腕を組み、深々と溜息を吐く晴絵。 「はぁ……」 「どうしたんすか、先生」 その様子が放っておけなくて、京太郎は晴絵に話しかけた。 ハルちゃん判定直下 1~30 (おいしそう) 31~60 (食べたい) 61~98 (いただきます) ゾロ目 ??? 「なぁ、京太郎? 覚えてる?」 何故か、晴絵に生徒指導室へと連れ込まれた京太郎。 あまり広くない空間に二人きり。 教師とはいえ小さい時から知っている相手なのであまり緊張はしないが。 なんだろう、このままいると。 「な、なにを……?」 「『ハルちゃんスキー! いっちゃヤダー!』」 「そ、それ間違えて酒飲んだ時の……」 「いやー、おもいだしちゃったよ。うん」 大切なものを、失いそうな気がする。 「まさか、その白いのは……!」 「なぁ、お見合いってさ。何だろうね。幸せって、なんだ」 「落ち着きましょう、先生」 「ハルちゃんって呼んでもいいよ。昔みたいに、さ」 いただきます。 そんな声が、聞こえた気がした。 「なにやってんの、二人とも」 底冷えのする声と共に開かれる扉。 憧が、恐ろしいほどの無表情で立っていた。 「あれ、鍵かけた筈なんだけど……」 「普通に開けたけど。で、何やってたの、京太郎」 「うっ……」 じろり。 憧の目線が京太郎を捕らえる。 責められているわけではないのに、言葉に詰まる。 「言えないようなこと? まさかとは思うけど――」 「し、進路相談! 進路相談だよ、二人で。な、京太郎!」 「え? あ、ああ、うん! そうそう! ちょっとこれからの話を!」 嘘は言っていない。 どちらかと言えば相談に乗っていたのは京太郎で、あまりにも一方的なソレは対話の体を成してすらいなかったが。 嘘は、言っていない。 玄と宥は、姉妹と一目でわかる見た目をしている。 玄が髪の毛を染めてコートとマフラーを着込んだら家族以外には誰も見分けが付かないだろう。 対して、京太郎は全く二人に似ていない。 男と女の違いがあるとはいえ、面影すらない。 そんなことを、酒の席で父親に酌をしながら話したら 「そういや俺と姉さんたちってあんま似てないよな」 「ああ、それな――お前、橋の下で拾ってきたから」 「……え?」 松実京太郎。 齢十五にして知る、衝撃の真実だった。 「す、すごいコト、聞いちゃった……!」 くろちゃー直下判定 1~30 今夜は眠れないよぉ……! 31~60 な、なら、大丈夫……だよね? 61~98 おねーちゃんにも知らせなきゃ!! ゾロ目 ??? おねーちゃんにも知らせなきゃ!! どっと疲れる一日だった。 浴室でシャワーを浴びて、汗を洗い流す。 朝の宥に始まり、昼には晴絵と憧に迫られて、そして先程明かされた衝撃の真実。 「まぁ……でも……」 納得できる部分はある。 まずあの二人と全く似ていないし、それに。 あの二人を、異性として意識したことも―― 「……いかん、いかん」 頭を振って邪な考えを追い出す。 血が繋がっていようがいまいが、あの二人は姉だ。それ以上でも以下でもない。 「えっと、シャンプー……」 「はい、どうぞ」 「あ、ども――え?」 えへ、と笑う松実玄。 勿論ここは風呂場であるのだから、衣服など身に付けている筈もなく。 「お姉ちゃんが、背中流してあげるね!」 「あったかく、してあげる……」 逃げ場など、あるわけがない。 前には宥が、後ろには玄が。 玄から逃げれば宥が、宥から逃げれば玄が。 二人の姉妹に挟まれて、京太郎はただ縮こまることしかできなかった。 「どうしたの、きょーちゃん?」 「あったかく、できない、よ……?」 「い、いや……だって……」 二人の肢体は京太郎には刺激が強過ぎる。 なんて事、言える筈がない。 「ほら、こっち向いて……」 「や、ダメだよ! 姉さん!」 「なんで?」 「なんでって、そりゃ――」 「何も、問題ないじゃない。血が繋がってないから……」 「っ!! それ、は」 「おとーさんが言ってたもんね!」 「でも、俺たちは姉弟で――」 「でも」 「赤ちゃんは、産めるよ?」 「う、あ、あ……」 京太郎判定直下 耐えて逃げる 1~50 負ける 51~00 負ける 響く嬌声も、流れる血も。 浴室の壁に阻まれて、シャワーに洗い流されて。 そこで何があったのか。 知っているのは、松実姉弟の三人だけだ。 ――ただ、薄れていく意識の中で。 ――最後に、憧の顔が見えた気がした。 「……」 「どうしたの? 大丈夫?」 「ん、ああ。ちょっと考えごとしてた」 「そう……なら、いいけど」 「……」 「ねえ」 「ん?」 「今度さ、旅行に行かない? 休みにさ」 「あ、ああ。いいな、みんなと――」 「いや」 「え?」 「二人がいい。京太郎と、二人で行きたい」 「……」 「……」 「……そう、だな」 【プロローグ 了】
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知っていますか、ゆーき? 「犬ーっ! 今日も付き合ってもらうじぇー!!」 「はぁ!? タコスバイキングなんてそう何度も行けるか阿保っ!」 「なにおーっ!」 知っていますか、咲さん? 「京ちゃん、ちょっと欲しい本があるから付き合って欲しいんだけど……」 「ん? 本屋行くだけだろ?」 「ちょっと欲しいのが多過ぎて……」 「ああ、成る程ね……」 あなたたちが彼と触れ合っている時も、彼の視線は、私に向いているんですよ? 彼も男の子ですからね――なんて。 「ふふっ……」 例えばこうして、エトペンに胸を預けたりして。 そうすると、ほら――あなたたちよりも、私の方が大事みたいですね。 「あぁ……」 ――可愛いです、須賀くん。 私の胸に釘付けになっているあなたが、私の考えた通りに動くあなたが。 本当に可愛くて―― 「食べちゃいたい、なんて……♪」 【お病すみのどっち】
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彼との出会いは、本当に彼が小さかった頃。 少しの間だけ知り合いの赤ちゃんの面倒を見てやって欲しいと頼まれたことが始まりだった。 「ほぇー……」 「あー……?」 無垢な顔。自分にもこんな時期があったのだろうか。 クリっとした丸い目と見つめ合う。 何となく指でほっぺたをつついてみる。柔らかい。 「あはっ♪」 「おおっ」 笑って、指を握られる。 こうもダイレクトに返されると構っているこちらとしても楽しい。 次は何をしてあげようか。 「ふぇっ……あうぅ……」 「えっ」 だが、さっきまで笑顔だったのに急にぐずり始めた。 赤子の相手をするのは初めてな晴絵でも、この次の展開は予測がつく。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」 「あぁっ!? ど、どうしよう……お、おーよしよし」 抱きかかえてあやしてみても泣き止まない。 おしめが濡れているわけでもない。 だとすれば、次に晴絵が思い付くのは―― 「……ゴクリ」 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」 数十分後、親が駆け付けた頃にはすっかり泣き止んで健やかな寝顔を浮かべる京太郎と、顔を真っ赤にして胸のあたりを押さえる晴絵がいたそうな。 【京ちゃん赤ちゃん、ハルちゃんティーン】 「……なーんてことがあったのも懐かしいなぁ」 「どーしたんだよ、レジェンドー」 「いーや? ただ、前みたいにハルちゃんって呼んでくれないかなーって」 「んなっ」 時は経ち、阿知賀こども麻雀クラブ。 過去を懐かしむように目を細める晴絵に京太郎が声をかけると、晴絵が京太郎に背後から抱きついた。 「いやー、最近はレジェンドレジェンドってばかりだから。あの頃みたいに甘えてくれないし?」 「そ、そりゃ……だって」 京太郎も小学校5年生、性別を意識するようになる年頃。 京太郎にとって晴絵は自分の姉のような相手だが、昔のようにベッタリと甘えるのは恥ずかしい。 かと言って完全に突き放すことも出来ず、わざわざこうして麻雀クラブにまで顔を出しているのだが。 勿論、晴絵はそのことも分かった上で京太郎をからかっている。 「本当、最近は放ってかれてばかりだし。かなしーなー」 「ぐっ……」 「京太郎に嫌われちゃったのかなー、とか思っちゃうんだよなー」 「そ、そんなことないし……レジェンドは……」 「んー?」 グリグリと、胸を押し付けるように、より強く抱きつく。 「聞こえないなー、私の名前はレジェンドじゃないし?」 「うぅ……」 京太郎の顔が茹で上がるが、晴絵は一向に離れる素振りを見せない。 こうなった時の対処法は理解しているが、それをやるのもまた恥ずかしい。 だが、この状態が続くのと、その対処法とを天秤にかけて――京太郎は、口を開いた。 「は、ハルちゃんのことは……今でも、好きだから」 「うむ、素直でよろしい♪」 ガックリと、京太郎が頭を下げる。 せめて、この顔だけはクラブの面子には見られたくなかった。 「飽きないなぁ、あの二人も」 「仲良しさんだね! 」 【京ちゃん小5、ハルちゃん大学生】 「晴絵ー、お母さんが呼んでたけ、ど……」 「zzz……」 ソファで転寝をしている晴絵。 それだけなら京太郎も肩を揺さぶるなりして、起こしただろうが。 「Zzz……」 薄着であり、シャツがはだけている。 色んなことに興味を持ち始める時期の中学生には、やや刺激が強過ぎた。 『――あなたを、愛している』 そして、ソファの前のテレビには恋愛ドラマのワンシーン。 ちょうど今の状況に相応しく――男性、が女性をソファに押し倒していた。 ゴクリと、喉がなる。 「いやいやいや……」 頭を振って浮かんで来たイメージを消す。 それも悪くないだなんて、決して考えてない。 テレビを消して、さっさと起こすように、京太郎は晴絵の肩に手をかけた。 【京ちゃん中学生、ハルちゃん大人】 「みんなよく寝てるなー」 「今日一日で大分打ったからな。疲れてるだろ」 全国大会に向けた遠征の帰り道。 車内の後部座席は、寝息に包まれていた。 「京太郎も寝れば?」 「いや、いいよ。助手席だし、俺はみんな程疲れてないから」 「ん、わかった。けど遠慮しなくていいから」 赤信号で車が停まり、会話が途切れる。 後ろからの皆の寝息が聞こえてくる。 何となく気まずくなった京太郎は、車内ラジオへと手を伸ばし―― 「あっ」 「あっ」 同じことを考えていた晴絵と、手が触れ合った。 「……」 「……」 手が触れ合ったまま、何となくお互いに見つめ合う。 気まずさは無い。むしろ、よくわからない胸の鼓動で頭がいっぱいになる。 「京太郎……」 「晴、絵……?」 信号が切り替わり、後ろの車にクラクションを鳴らされるまで。 京太郎と晴絵は、お互いの手の温もりを感じていた。 【京ちゃん高校生、ハルちゃん監督】 「――私と。私と、付き合って」 胸に手を当てて、告白する幼馴染。 震えながらも真っ直ぐに見詰めて来る瞳からは想いの強さが伝わってくる。 「憧……」 「……」 いつからだろうか、この幼馴染が髪を伸ばし始めたのは。 いつからだろうか、この幼馴染が化粧を覚え始めたのは。 いつからだろうか、この幼馴染に――女としての魅力を感じたのは。 「……ごめん」 「え……?」 だけど。 京太郎は、拒絶する。 「本当に、ごめん……だけど、俺。憧とは、付き合えない」 「あっ……」 その場に崩れ落ちる憧に、申し訳なさそうに背を向けて。 京太郎は、自分を待つヒトがいるアパートへと帰った。 「……あはっ」 【京ちゃん大学生、ハルちゃん――】 「いやー、参った。こんな日が来るとはねぇ」 「なんつーか俺は、いつかこんな日が来る気がしてたけどな」 「え、マジで?」 「うん。と言っても高2の辺りからだけど」 「そっかー、筋金入りだったか」 「そー言ってるけど、晴絵だって好きだっただろ。昔から、同じくらいに」 「……面と向かって言われると照れるなぁ」 「あー……あの時の晴絵の気持ちがなんか分かったわ」 「え?」 「好きな人って虐めたくなるもんな」 「ありゃー……こりゃ、本当に参ったなぁ」 「ん……愛しているぜ、晴絵」 「私も……愛しているよ、京太郎」 「――おやすみ」 【ED 京ちゃん、ハルちゃん、いつまでも】
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「旅行に行こう、次の休みに」 季節は冬。 今日も若手実況アナウンサーとしての仕事を終えて、相方と別れた帰り道でふと思い付く。 何でそう思ったのかは分からないが、きっかけとは、えてしてそういうモノである。 一人暮らしのアパートに帰宅した京太郎は早速、自宅のPCから旅行サイトを開いた。 ◆ 「で、岩手までやってきたわけだけど……」 駅を出てから、歩いても歩いても目的の旅館が見つからない。 それどころかどんどん民家から遠ざかっているような気がする。 地図の方向では間違っていないのだが。 「コレ、もしかしてヤバイ……?」 携帯は圏外。 少しずつ雪も降り始めて、自分の歩いてきた道が分からなくなりつつある。 嫌な予感が頭を過る。 このままでは、遭難―― 「あっ! も、もしかして!?」 「わー! 須賀アナだよー!!」 雪の中を猛スピードで駆け寄って来る身長2m弱の黒い服を着た女性。 京太郎の体が震えるのは雪のせいだけでは、ない。 「私、大ファンなんです! あの熱い実況が大好きで!」 「ど、どうも……」 両手を掴まれてブンブンと振られる。 旅先で熱烈な自分のファンに出会えたのは歓迎するべき状況だが、今は素直に喜べない。 「あの、一つ聞きたいことがあるんですけど」 「何でもどうぞ! 趣味でもスリーサイズでも大歓迎だよー!」 「そ、それでは……」 肉体的にも精神的にも豊音に圧倒されながら、京太郎は口を開いた。 ◆ 「そこはこことは反対方向ですねー。今から歩くと日が暮れちゃうよー」 「何てこった」 次第に強くなる雪に立ち話も出来なくなって、京太郎は豊音の家にお邪魔することになった。 外は既に日が沈み、吹雪の影響もあって完全に前が見えない。 そして頼みの綱の携帯は圏外。 この中を歩いて行けるのは自殺志願者くらいである。 「参ったな……」 「あ、あの……もし良かったら……」 額に手を当てる京太郎に対して、豊音がモジモジと、胸の辺りで指を組みながら。 「わ、私の家に泊まって行きませんか……?」 豊音の提案に頷いた京太郎は――というより、この場合は受け入れる以外の選択肢はないのだが、吹雪が大人しくなるまで豊音の家に泊まることになった。 夕食と風呂まで用意してもらい、至れり尽くせりである。 予定とは大分違うが、コレはコレで良い体験が出来た。 「旅にハプニングは付き物って言うし、これも醍醐味なのかな……ん?」 風呂上りに首にタオルを掛けて廊下を歩いていると、小さな棚に写真が立ててあるのを見付けた。 「これは……」 恐らくは豊音の学生時代に撮ったものなのだろう。 制服を着た豊音と、4人の女子が写っている。 「それ、私の高校時代なんだー」 「っ!?」 急に背後から声をかけられ、京太郎の心臓が跳ねる。 振り向くと、豊音が悲しそうな顔を浮かべていた。 「みんな仲良しだったけど……みんな、いなくなっちゃった」 「豊音さん……」 今日に知り合ったばかりでも、豊音の人となりはある程度は分かった。 体は大きくても心は無垢で、子どものように純粋な人。 その彼女がここまで悲しんでいるのだから、彼女の寂しさはとても大きいに違いない。 その寂しさを埋めてあげたいと、京太郎は思った。 「……豊音さん、俺と友達になりませんか?」 「……え?」 「これも旅の縁ですし……俺は、豊音さんと仲良くしたいです」 「……いいの?」 「勿論」 「!!」 冷静になって考えてみれば、まるで口説いているようだと思ったが――嬉しさの余り小躍りしている豊音の姿を見れば、小っ恥ずかしさなんて吹き飛んだ。 ◆ 吹雪が止んだのは、ちょうど京太郎の休みの最終日だった。 「今度は、こっちに来て下さいよ。歓迎しますから」 「うん! うん! 絶対に行くよー!」 豊音に両腕を大きく振られながら見送りされる。 今度は迷うことなく、駅まで辿り着けた。 結局、計画通りには行かなかったがそれ以上に良い思い出が出来た。 明日からの仕事にも力が入りそうだ。 「……ん?」 ほんの一瞬、電車の窓に見覚えのある黒い影が映った気がしたが、振り返っても誰もいない。 「気のせいか……」 電車に揺られながら、帰宅する京太郎。 旅先から持ち帰ったものが増えていることに、彼が気付くことになるのは―― 【ぼっちじゃないよー】
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